アメリカのほほん手帖

アメリカ東海岸在住16年、暮らしの諸々について綴ります

夢:死者との再会の場

友人のお姉さんが2日前に亡くなられた。友人は今、葬送の為にお姉さんが住んでいたカナダへ向かっている。癌との闘病の末亡くなられたが、亡くなる20分前に、友人は電話でお姉さんと話をすることができたそうである(実際には友人が話をするのをお姉さんが聞いていた)。友人以外の他の遠くに住む家族とも、同様に電話での会話を終えて、旅立っていかれたそうだ。また、亡くなられる数日前と亡くなられたその日に友人が見た夢に、お姉さんが出てこられて、友人へのメッセージを残して行かれたそうだ。

”夢枕に立つ”という言葉を聞くことがあるが、友人の経験はこれにあたるのであろう。私自身のことで言えば、親しい誰かが亡くなる前後に私の夢に登場して、メッセージを残していったという経験はこれまでない。唯一それに近いのが、7年前に他界した父が、その後数か月してから私の夢に登場し、ぼんやりとしていてはっきりとは覚えていないのだが、司馬遼太郎の本を読むようにとの私へのメッセージを伝えた(と私が思った)というのがある(特に本の指定はなかった)。確かに父は司馬遼太郎が好きで、彼の本棚には全集も入っていた。私がまだ日本に住んでいた時に、そこから「街道をゆく三十・三十一:愛蘭土紀行Ⅰ・Ⅱ」を拝借しており、その2冊は、そのままアメリカへの引越しにも付き合わされて海を渡り、今は私の本棚に収まっている。私自身が買った司馬遼太郎の別の本も8冊、同じように本棚に並んでいるが、さて父は私にどの本を読んで欲しいのだろう。

 

 ”夢枕に立つ”や”夢のお告げ”について、いろんな捉え方があるようだが、検索していたらこんな記事もあった:

president.jp

ノーベル医学賞を受賞した山中伸弥氏が、研究のことで追い詰められ、迷い、研究継続はあきらめて臨床医への方向転換をしようかという状況の時に、お母様の夢にすでに他界されていたお父様が現れて、”もう一度考え直すよう息子へ伝えるように”とのメッセージを残されたそうである。そのことをお母様から電話で告げられて、山中教授は再考し、その後、研究を続けられる職場と出会い、それが後のiPS細胞の研究につながっていくことになったそうである。ノーベル賞科学者の運命を変えた”夢のお告げ”だったのだ。

死者からのメッセージを受取ることもある夢という不思議な現象。この世とあの世との境目にあるような、死者との再会の場ともなり得る時空間をも超えた領域。良くわからないが、この世で生きる人々が、慰められたり、はたまた運命をも変えるようなメッセージを受け取ったりできるのであれば、そこには大きな意味があるのであろう。

私は最近ほとんど夢を見なくなってしまった(見ていても覚えていない場合が多いのであろう)。しかし、REM睡眠中に見るという夢というものに、もう少し注意をはらっていこうと思う。今度また、父が私の夢に登場して、司馬遼太郎のどの本を読むといいのか、教えてくれるかもしれないと期待もして。