アメリカのほほん手帖

アメリカ東海岸在住16年、暮らしの諸々について綴ります

コロラドへの旅-PART2:アナサジ・インディアンの作った断崖の居住空間 in Mesa Verde

最近このブログで書いた夢についての話。夫のとある彫刻作品が、”一人の人間の思考が起源となり、都市が出現した”ことを表現していることについて、紹介した。

carolina-blue.hatenablog.com

そこから今度は、以前コロラドに旅行した時に見た断崖の居住空間(都市ではないのだが、非常にユニークな建造集落)のことを思い出したので、今日はそれについて書いてみようと思う。

数年前にコロラドにあるメサ・ヴェルデ(Mesa Verde)国立公園を訪ねた。Mesa Verdeオフィシャルサイト:https://www.visitmesaverde.com/discover/cliff-dwellings/(メサ・ヴェルデ国立公園は1978年に国連の世界遺産として登録されている)

 メサ・ヴェルデには、プエブロ・インディアン(Pueblo Indians)のアナサジ族が、断崖のalcoves(窪み)を利用して、そこに主に砂岩、漆喰、木の支柱等を利用した居住場所を作り、生活していたそうである。西暦1190年頃にこのような生活様式が生まれ、小さいものではたった一つの貯蔵部屋から、大きいものでは、150部屋もある村を形成するものまで約600もの大小様々な集落遺跡がこれまでに発見され、記録されている。生活の糧である耕作は、崖の上に広がる台地(Mesa)で行い、崖下の建造物はあくまでも居住場所であったらしい。しかし、時間の経過と共に、そこで暮らしていたインディアン達は、段々と南の方へ移住していき、1300年頃には、Mesa Verdeの断崖集落群には誰も住まなくなってしまったそうだ。乾燥した土地柄のせいか保存状態は良好で、今は、遺跡を訪ねる観光客を、しばし、800年前の世界へといざなってくれるのである。 

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この断崖の居住空間、元々は、崖上に広がるMesa(台地)の上で耕作を行い、集落も同じMesaにあったのが、外敵の襲来からの防衛の為か、宗教上の或いは精神上の何らかの事情からなのか、その理由は定かではないらしいが、1190年頃から断崖の窪みを利用した居住様式に移っていった。理由は何であれ、これだけの建造物を作り上げるのは、容易なことではなかったであろう。まず最初にアナサジ族の誰かが、この崖にある窪みを利用して住むことを思いついたのか、そして、それが実現し、現在残っているような断崖の居住空間へと発展していったのだろうか。いろいろ想像を巡らすと楽しいのである。

以前書いたコロラドへの旅-Part1はこちらを参照ください:

carolina-blue.hatenablog.com